【登記申請発射から】中の人は何をしてるの?【完了通知まで】
執筆者:全法務ついった支部長・現役登記官 原田青二
セク原田青@頭亀官と申します。
先日、権利登記が申請されたら中の人はナニをしてるの?という投稿をしましたら大反響をいただき、ぜひ表示登記についても!と多方面からリクエストをいただきました。中でも、いちばん最初に声をかけていただいたヤジーのアニキにご協力をお願いいたしまして、このたび寄稿させていただくことになりました。
私のプロフィールですとか、登記所の内情などは前回の投稿にてご確認いただければ幸いです。
https://s-jobsearch.jp/info/11442/
表示登記は、法務局内では主張の激しいタイプと、あまり詳しくないタイプに二分される印象です(私は前者かも)。担当者のセンスによる部分も大きいですし、各局の実地調査要領の相違、地図の整備状況や旧土地台帳付属地図の作りが違うことなどから、違和感を感じる部分もあると思います。
また、帳票などを掲載することはできないのでイメージしにくい部分もあるかと思いますが、ご参考になさっていただければ幸いです。前回の投稿と重複する部分はできるだけ省略して表現したいと思いますので、前回投稿もぜひご覧ください!
なお、本寄稿にあたり、公務員としての本分に則り、原稿料は辞退していることを申し添えますとともに、あくまで匿名垢が勝手にしていることですゆえ、私の特定や所在探索はなさらないようお願い申し上げます。
リクエストのありました分筆登記をテーマにイキますが、土地表題、地積更正など地積測量図を添付する事件はほぼ同じです。調査士報告方式で申請されたときを想定して書きますが、特例ならともかく、未だに書面申請のセンセはおられますまいな?
1.受付
申請が発射されますと、中の人がいちいち「申請入ってないかな?」と端末操作をして、申請情報と調査票等の印刷をします。電子署名の検証結果やPDFもここで出力されます。
調査票とは、物件や会社等のいわゆる登記事項証明書なのですが、申請物件の概要がまとめられた表紙がつきます。表紙には、所在地番、所有者の住所氏名持分のほか、「農地があるよ!」などの注意が印刷されます。
権利の登記では、その他に記入結果の確認票とか完了証のイメージなどが印刷されますが、表示の登記は「登記の日付(=記入の日付)」が未確定なので印刷されません。
印刷物をすべて申請単位(連件)にまとめ、クリアファイルに入れて、調査士報告方式なら「調査待ち」の台車に格納しますが、特例方式なら「添付書類待ち」の台車に格納します。報告方式はここですでに相当のインターバルをつけていることがわかります。
ちなみに、書面申請はその日受付の最後のボックスに、セルフ申請とともにまとめられるところが多いようです。登録免許税の納付確認は受付でするところもあり、調査でするところもあり。報告方式は「納付してね」の連絡があってから納付すればよいとのことですが、私の勤務した庁ではほぼ催促する前に納付されています。
2.調査
調査の手法は様々ですが、「私のヤリ方」で説明します。
まず、「地図情報システム」から申請情報添付の地積測量図、地図(公図)、申請地及び隣接地の最新の地積測量図、隣接地の登記情報などの印刷指示をし、印刷が完了するまでの間に申請情報と調査票の突き合わせをします。
調査票の表紙を見て、分筆新地が正しく受付されているかを確認。分筆新地がちゃんと入力できていないセンセが結構おられますので、これを受付に反映させる作業も調査で行います。
次いで調査票と申請情報を突き合わせます。物件の所在、地番、地目、地積、過去の分筆等の履歴、所有者の住所氏名、乙区など所有権以外の権利の有無。所有権でもその他の権利でも、どの登記を分筆新地に転写するのか、そして転写する権利に登記識別情報があれば、その複写指示などを申請情報に書き込んでいきます。
登記識別情報があるかどうかは、調査票からは一見してわからず、なんともアナログなことに、「その登記がオンライン指定の日付の前か後か」で判断しています。
次いで、地図情報システムから出力された申請の地積測量図をチェックします。公図との形状、隣接の配列、線形の整合性。既存測量図とも同じことを確認しますが、さらに距離や数値などの細かいチェックもします。この時点で不整合があれば、合意筆界(所有権界)を疑わなくてはなりません。
ケースによっては和紙公図や分筆申告図等も確認します。次は筆界確認情報(立会証明書や官民境界確定書など)の確認です。ちょっと前までは、隣接地の登記情報をいちいち呼び出して所有者をチェックしないとならなかったのですが、最近は公図の写しに所有者名等を記載したものが出力できますので、かなり省力化になりました。
とはいえ、名前だけではなく、隣接地も登記情報を必ず見て、「過去の分筆等の履歴」も確認する作業が必要です。
調査の最初で印刷した地積測量図は、「最新の図面」が出力されます。これが全筆測量であればあまり気にすることはないんですが、旧法時代の残地差引タイプだと、分筆等の履歴を調べて図面の出力指示をかけないと目的の筆界に関わる図面が出てこないことがあるので、過去の履歴をチェックする必要があるわけです。
最後に、委任状と調査報告書をチェックします。調査報告書を答案用紙のつもりで書いておられるセンセが結構おられる印象です。残念なことに、法務局職員も答え合わせのつもりでチェックしている職員が多いように感じます。
もちろん、定型の事項がキッチリ記載されているのに越したことはありませんが、私が大事にしているのは、調査報告書からどれだけ現場のイメージが伝わってくるかということ。
測地系や杭の写真も大事ですが、個人的には素図・現況図が充実しているとものすごく嬉しいです。実地調査を省略できる可能性が上がりますし、実地調査になったとしても、調査ポイントを明確に絞れます。
3.実地調査
よく「まだ出来ないんですか?えー、実調行くんですかー!?」てやりとりがありますが、実地調査を省略できる場合、というのは実は各局の実地調査要領等で割と明確にされているのです。
分筆なら、「14条地図または既存測量図、筆界特定図面の数値と整合する」のが全国統一の最低ラインかと思われます。これ以外の案件すべてを実地調査するのはとてもムリですから、調査報告書やその他の資料から登記官の判断で実地調査省略する、というのが実情です。
「公図や頼りない既存測量図しかない現場で、調査報告書と筆界確認情報を信じて省略する」ということはまずありえないと思ってください。
実地調査は、登記所ごとにいろんな運用をしています。管轄が広いところなら、今日は東方面、明日は南方面などと割り振って、件数が少ないときなどは今週は水曜日にまとめて行こう、など効率化を重視しています。
また、基本は午前のみ、午後のみで行ってこられるように段取りしますが(理由は後ほど)、本当に遠いところは朝出て夕方に戻ることもありますし、離島などは月1回などまとめて行くことになります。
なので、明日完了して欲しいから今日行ってくれ、というのはとてもご勘弁いただきたい話なのです。処理計画が大幅に乱され、遅延の原因になります。
まずは現場の特定。案内図をつけてくださるセンセが多いのはありがたいのですが、基本は職員が公図と住宅地図などを突き合わせて特定します。「案内図通りに行ったら違う現場だった、しかもそれに気づかず登記完了しちゃった」という過誤事案があるからなんです。
悪意が介在する可能性もあります。どちらにしても過誤は大問題ですので、案内図を盲信することはありません。
現場に着いたら、住宅地図で周辺宅等の確認をし、さらに公図を見ながら申請地、隣接地、対側を街区一周歩いて確認します。怪しまれないように、人に出会えば「測量の点検に来ました」などと名乗って挨拶することも当たり前です。
境界標や構造物、境界木などを見ながら、目に見える境界がツライチの直線かどうかとか、ただ歩くだけではなくて、一歩で1メートル弱?を意識して、間口や奥行きが公図のそれとどのくらい整合するのか確認します。
また、電柱や信号機、看板など「ちょっと高いところにある地物」もチェックします。電柱などは街区の端や境界付近に設置されていることが多いので、あとでTS観測する際の絶好のノンプリターゲットになります。
申請地の調査は、地形、境界標、構造物などを一通り見て、写真を撮り(ここに行ってきたという証拠としても重要)、必要に応じてTSで観測します。
必要に応じて、というのは、現場で最初にする歩測しながら街区一周でほぼ検査測量の目的は達成しているからです(私の場合です、あくまでも)。我々の検査は、数ミリの誤差を指摘してドヤ顔するのが目的ではなく、適切な筆界認定がされているとの心証を得ることが到達点と考えるからです(しつこいようですが、私の場合ですよ)。
ですから、準地図でも歩測で十分な場合がありますが、地図の精度による相違や、歩測では判断できない場所(壁の向こうとか高低差とか)を確認するためにTSを使うのが私のヤリ方。
TSでは、申請地の検測はもちろんのこと、隣接地や街区全体の概測もします。これによって、隣地の面積がどのくらい確保できるかとか、隣地に押したり押されたりがないか、街区全体で見たときの縄伸びとかズレ具合とか辺長比とか、いろんなことが見えてきます。
TSでの観測は、ノンプリで自力で観測するのが私流。自動追尾もリモコンもどこの職場にも導入されていると思いますが、器械を放置してウロウロするのが心配なのと、ミラー持ってやたら敷地に入るのはよろしくないのと、器械点(引照点などはほとんど使わず、最も見通しの良い場所に設置します)から見た景色が一番現地の状況を把握しやすく、検測結果と現況がまとめて説明できるからです。
電柱なども、器械点そのままで見てしまえば、街区全体の大きさなどを把握することができます。
何回も私流を書きましたが、もっとよいヤリ方もあるでしょうし、隣地や街区までは見ない、TSじゃなくてテープで、なんてレベルの登記官もいます。私とて、案件によっては細かい測量をすることもありますし、立会などがあればプロセスも変わってきます。
そんな中で、一現場を20分弱でこなさないとその日の調査ノルマをこなせませんから、「測量の精度よりも筆界認定の可否」に主眼を置くと、これ以上のヤリ方が思いつかないのです。
ちなみに、GNSS機などは本局にしかなくて、何か特別なときに本局から貸し出したりするところが多いと思います。あと、私はスマホで経緯度とXYBLのアプリを使って済ませることもあります。iPhoneなら平面直角座標アプリがあるんですけど、アンドロイド民には高嶺の花。概測なら十分な精度ですので、特に山の中の調査で結構役に立っています。スマホなんて完全に私物ですから、まさに私流です。
実地調査から帰ってきたら、何時に出発してどこに行って何キロ走ってガソリン何リッター入れて何時に帰ってきた、て帳簿をつけまして、写真をプリントして、実地調査結果報告書を作成します。
実地調査結果の書き方は局により人によりさまざまです。シンプルに可否の結果のみしか書かない人もいれば、結構気合いの入った素図や作文を書く人も。これに時間をとられてしまってはいけないのですが、簡単すぎるとダメ出しされて、最悪再調査を命ぜられたりします。
4.記入・地図記入
分筆の場合、オンライン申請でも記入のメリットはあまりなかったのですが、最近のシステム改善で、手作業の工程がだいぶ減りました!
分筆元地の表題部、分筆新地の表題部の記入と甲区・乙区の転写。識別情報があればその複写も自動でヤってくれますので、たまにあるイレギュラーに気をつけてさえいれば、誤記入などはほとんど起こりません。
地図記入は、地図の種類などによってヤリ方を使い分けなければなりません。まずは測量図の登録。オンラインの図面だと本当に楽ですし、仕上がりもキレイ。紙の図面はスキャナで読み取るのですが、解像度は400dpi。結構文字もつぶれますし、ぱっと見で美しくないです。
測量図は調査士の仕事の集大成、作成者の名前とともに公開されますので、やっぱり仕上がりの美しさは大事です。
続いて分筆線の記入。座標値が測量図と一致する地図の場合は、座標値で入力します。数値をいちいち打ち込むのは手間ですので、測量図の数値をOCR的に読み取る機能がありますが、結構文字化けもしますし、そんなに精度がよくありません(なので、できるだけフォントサイズは大きくして欲しいのです)。
最終的には線引き後の地積が一致するかどうかで正しく引けたかどうか確認するのが精一杯です。測地系が違う場合はパラメータ変換ができるかどうか、地図のつくりによってはヤってみないとわかりません。
全くの任意座標だったり、頭上読み取りの地図の場合はAB辺の辺長とCD辺の辺長を按分した線を引いて、屈曲点などを調整していきます。準地図の場合は、地形図(分筆図面)を添付していただくことが多いですかね。地形図を登録して、それを地図上で重ねて線を引きます。測量図との整合がよければ、測量図を重ねてしまいますので、地形図不要です。
地図の線引きという作業においては、地図情報システムはものすごく低性能なCADなのです。
シンプルな分筆でもこのくらいの作業があるんですが、一件で複数の分筆が申請されるパターンが結構やっかいなのです。システムは、基本的に一つの受付番号で登録される図面は一分筆分と判断します。2筆に分筆するのが2件分、一受付番号に入っていたら、2×2で4筆に2件分の測量図が紐付いてしまうことになるのです。
この絡まった紐をほどく作業がちょっと手間。一応、「ほどけたよー」という姿は見せてくれるのですが、いざそれが公開されたり、後になって地籍調査や分合筆などの動きがあったりすると、水面下でほどけていなかった絡まりが現れてくることもあります。
測量図の写しをとったら関係ないものまでゾロゾロ出てきた、てことありませんか?アレですよ。筆数や分筆単位が増えればさらにややこしくなります。もしも、申請件数単位での報酬という問題さえクリアできるのなら、一申請一分筆としていただければ、かなり作業効率が上がり、測量図を公開する上でも適切な形ができます。
測量図の登録と地図の記入まで終わると、「校合待ち」の台車に移されます。
5.校合・地図校合
ほとんどの庁で、「調査記入と校合は同一人が処理しないこと!」と厳命されており、複数のチェックによって不正不当事案を防止しています。完了予定日間近になって「校合官から指摘がありまして~」なんて電話があったら、そーゆーことだとご理解願います。
校合は、基本的には調査と同じことをなぞってイク感じになりますが、実地調査は担当者の報告を読むしかありませんし、図面の数値などを再チェックするほどの余裕はありません。
申請適格、法定添付書類、法定記載事項、調査報告書や調査資料を見直す程度ですが、公図の配列や線形と違わないかどうか、既存測量図との不整合がないか、そして筆界認定の根拠が明確であるかどうか、私はこのへんをよくよく見るようにしています。
あとでもうちょっと書きますが、「隣接が納得してるんだから認めればいいんじゃないの?」て職員が結構います。そして、いまだに同じことを言う調査士もいますので、慎重になるわけです。
書類のチェックが終わったら記入のチェック。問題なければ「校合実行」のシステム作業をします。校合は、まず登記識別情報の確認から入ります。識別情報は自動で複写されるケースがほとんどなので、それを確認するんですが、識別情報がない場合は、識別情報をいじりませんよー、て指示をします。
持分取得だったり、甲区と乙区だったり識別のあるなしがあったりすると、指示の内容や確認作業が細かくなります。これが完了すると、校合実行と同時に完了証発行の指示をします。発行=完了ではなくて、発射台に乗せる感じ。その後、「署名完了」というロックを外して完了証を発射する作業をします。
まだあります。今度は地図校合。地図情報システムで、測量図がちゃんと登録されているかどうか、複数の分筆がある事件だったら図面が目的の筆にしっかり紐付いている(絡まった紐がほどけている)かどうか、筆界線が正しく引かれているかどうか、地番が誤りなく付されているか、分筆の履歴が正しく設定されているかどうかを確認して「校合実行」の指示をして、ようやく校合の工程が完了します。
権利編をお読みいただいた方は「ずいぶん権利よりアッサリしてるなあ?」と思われるんじゃないでしょうか。調査士ならではの報告方式によって印紙の取扱いがないことと、権利の登記は誤記入があったときの「職権更正」がかなりめんどくさいのに対し、表示の誤記入は登記官限りで修正ができることが大きいと思います。
また、たとえば筆界線が正しく引かれているかということを本気でチェックしようとすると、座標値をいちいち確認したり、測量図を公図に重ねたりと、調査記入で苦労した工程をまた一からやり直すことになり、相当の時間と労力を消費します。
それよりも、目視で確認できないような微細な誤りは、指摘されたらすぐに修正しよう、これくらいのバッファを持っていないと、校合工程で大きな渋滞が発生してしまうのです。
6.法務局のシステム・器械
まず、「一般事務処理用パソコン」というものは、何名かで1台を使うという共有端末があるだけ。去年のシステム更改によって耗弱だったインターネット環境が改善され、全職員にメアドが付与されていますが、登記事件処理組が使うことはあまりありません。各種通知文書を作成する程度で、共有端末を一人で長時間占領するような使い方はできないのです。なので、メールで照会を、とか参考資料送付、なんて使い方はまだまだ現実的ではないのです。
①登記情報端末
登記申請事件の処理から証明書発行まで全てをこなす基本のマシン。権利登記においては効率化や過誤防止の機能が結構充実しているのに、表示登記においてはそれほどの機能は搭載されていません。
②地図情報システム
登記情報端末の中に組み込まれていますが、全くの別アプリです。登記情報システムと連携していますので、地図処理アリの受付情報を自動的に登録します。地図の線入れなんかの作業のほか、測量図や建物図面、それからなじみがない方も多いと思いますが、地役権図面の登録もこのシステムを使います。
地図の線入れは、座標値を入力するか、始点と終点を按分して引くか、測量図や地形図を重ねて引くかのどれかです。その他の機能としては、図上測定で面積や辺長の計算、公差判定などです。
地図は、隣接図をそれっぽい配置にして、ある程度のデータベースごとに管理されています。登録したときの業者のフィーリングによる部分が大きいのか、本当に「それっぽい」だけで、実は隣接関係めたくそ、なんて場合もあります。
データベースは地図の種類のほか、地番区域などによってわけられているので、枠の外の隣接図を探す、というのは住宅地図や基本地図を見て、といういまだに手作業なのです。測量図の登録はおよそ15年前の突貫工事。登録が間違ってたりするのも多いですが、よくある「横に伸びて登録されてる」ヤツは、スキャナの紙送りパーツの摩耗によるもののようです。
③TS・GNSS
本省での一括入札により各局に配布されます。入札年度の違いによって、庁によってトプコンだったりライカだったりしますが、ニコンは聞いたことありませんなー。TSは各職場に配備されていますが、GNSSは基本本局のみ。
TSは、私を含め、「対辺測定」を活用する職員が多いと思います。座標値じゃなんかピンと来ないし、角度なんて対角線見れば十分だし、限られた時間で現場を把握するのに最も効率的だと思います。よくわかってない(けど機械操作は得意)という職員に限って、座標値での位置誤差とか細かいことを言う傾向が強いような。
④関数電卓
各庁に配布されていますが、実際使えるのは測量の研修を受けた人くらいで、そーゆー人は自前の関数電卓で勝負しますので、あまり使われないマシンです。使うのはピタゴラスがほとんどですが、私はたまに第二余弦なんかも使います。
⑤CAD
筆界特定、14条作業用にWing neo(アイサン)が配布されています。一般事件の処理に使うことはあまりありませんが、時々職権で図面を作る、とか重ね図を作って検証、なんてときに本局にデータ送って作業することがあります。
⑥和紙公図管理システム
これも突貫工事で登録したのでデータベースが結構めちゃくちゃです。地図情報システムのように地番で検索ができず、目的の図面を探すのがめっさ大変なので、多くの職員は和紙の図面を直接持ってきてそれを見て、という「和紙公図の損傷を防ぐため」というシステム導入の目的が全く達成できない作業をします。
⑦地図分類図出力ツール
これの存在を知っている職員がそもそも少ないのですが、「等高線の地図に公図を重ねたもの」。どういう経緯でこれを導入したのかわからないんですが、隣接公図がわからない場合などにとりあえず見てみます。が、山間部などはほとんど整備されていなかったりして、役に立つことはあまりありません。スマホでマップル法務局地図ビューワを見た方がよっぽどかんたんです。
7.あとがき
調査士報告方式を活用されていることには深く感謝申し上げますが、効率化と適正処理のために、可能な限り一事件一申請で出していただけると本当に助かります。あと、分筆新地がちゃんと入力できないセンセ、覚えてくださいネ。
添付書類の順番について、なんて皆さん意識されてますかね?中の人が申請情報を印刷すると、PDFと連続したページを付されて印刷されますが、このページ順を崩すのはダメとされている庁が多いようです。
個人的には、「委任状、根拠資料(筆界確認とか所有権証明とか)、調査報告書」の順が見やすいのですが、これが建物表題とかだと、住民票、建築確認、検査済、引渡、設計図などが結構ランダムに入り乱れているセンセが多いんですよ。
相続が絡んで戸籍が束になったりすると、書類の順番を追うだけでもう大変なんです。可能であれば、添付順にご配意いただければ、適正迅速処理に繋がります。
地図情報システムですが、分筆などの申請によって、登記情報と同じくロックがかかります。該当地番で地図の写しがとれなくなるのは当然ですが、中の人的には、その隣接地もロックされてしまうという現象があります。
100番の土地の分筆が出ると、100番と、隣接する101番、102番がロックされ、100番の処理が完了するまで隣接地の分筆ができなくなりますが、なんと、隣接地だけでなくさらにその隣接地110番と111番もできなくなります。
これは、100番の分筆によって、隣接101番の筆属性情報(分筆新点によって筆界点が増えることや丸めによって面積が変わること)に影響するからなんです。これが、連件処理であれば一気に処理できるので、ある程度まとまった分筆は小出しにせず、連件でまとめていただきたいのです。
関連する話で、直線上の筆界点を表示するかどうかって話がたまにあります。基本的には、筆界点ですから測量図の法定記載事項、表示がなければアウトです。とはいえ、わずか一点決めるために隣接地の筆界認定までしなきゃ・・・とヤってたら分筆できなくなってしまいますから、各局の取扱いや登記官の裁量によって「特別な事情」として容認されているのだと思います。
あと、合筆・分筆・地目変更の3連件がなんでいっぺんに終わらないのか?と疑問に思われるセンセがいらっしゃいますかね。連件で出されても、わざわざ分割しないと処理できないシステム上の制限なのです。
合筆すると登記識別情報を作成しますが、これを完結しないと次の分筆で識別情報の複写ができません。さらに、分筆新地が確定していないと、地目変更の物件が空振りしてしまう、そーゆーわけです。
こんな小ネタは一晩じゃ語り尽くせないほどありますが、そのど多くが調査士センセのご理解ご協力によって、処理がスムースにできるものばかりです。お願いすることばかりになってしまいますが、法務局がパンクしないためにお力添えいただければ幸いです。
あと、もう一点だけ。名変登記の義務化によって、「変更証明を添付して登記記録と異なる住所で表示登記の申請がされた」場合は、名変ヤってください、という催告の端緒となります。「地目変更したばっかりに過料になったぞ!」なんて騒ぎにならないように、住所が違う場合は、必ず申請人に名変登記を促してください。
革めまして、日頃からのご協力ご厚情に感謝申し上げますとともに、ご協力いただいている土地家屋調査士が皆ブルジョワになられることを祈念しまして結びとさせていただきます。
「こんな話も聞かせて欲しい!」などのご要望があれば、Xでお寄せいただきたいと思います。
余談 中の人についてざっくり&実地調査基準
法務局の中の人は、基本法律系や事務系などの仕事を想定して就職した人が多いと思います。自分もそうでしたから、「測量の研修?なんで土木系なんや?」なんて思っていましたが、測量を勉強することで、「調査士と同じ目線で話せる」ことの大事さをつくづく思い知ります。
法務局に入ると、測量の研修を受けます。まずは初級、数学や器械操作などの基礎を学びつつ、最終的には閉合や復元なんかを実習して成果品を作成するという内容なのですが、1、2週間で理解できるはずありませんやん。現場に戻って、しばらくしたら忘れちゃいます。
そこで、一割ほどの職員は、半年間「中央工学校」に入学して、測量を専門的に学ぶ研修を受けます。ちょっと前までは「国土建設学院」でした。一割というと選ばれた人員的な感じもありますが、その多くはガチの法律や管理系を学んで出世コースに乗るための「高等科研修」に選ばれなかった敗者復活戦的なポジション。
なんでこんなヤツが?みたいな人数合わせ的なやつも少なからずいます。測量研修でいい成績を修めた人の多くはいわゆる出世コースに乗り、表示登記とはあまり縁のない世界にイっちゃいますが、そこそこの成績だった人は筆界特定や14条地図作成に配置されて、表示登記の運営に中心的に携わることになり、研修の目的を達成できた組になります。
現実的には登記所の人員構成や人事異動によって、権利登記なども処理するコマの一つになっちゃうんですけどね。
法務局には、正職員の登記官や調査官のほかに、非常勤職員がいます。その中でも、表示登記と切っても切れないのが「実地調査運転手」です。我々が書類を見て現場での作業手順などを検討している間に、現場に連れてってくれる運転手です。
もちろん、運転だけじゃなくて、現場では路駐の番をしたり、ガチの測量をするときはミラーマンをしたり。実地調査のないときは書類の整理や掃除など、転勤族の我々よりも遙かに職場の運営に貢献していただいています。
局によって違いますが、基本最低賃金よりちょっと多いくらいの時給で、5、6時間の勤務って人が多いと思います。この勤務時間が、なるべくお昼をまたがないように実地調査をするという大きな理由となっています。
あとそーですね、中の人は毎年上から新規施策とは別に「こーゆーことをやれ!」という「重点施策」てのがいくつか押しつけられます。オンライン申請を増やせ!てのもその一つです。
去年まではどこの庁でも「実地調査率を上げろ!とにかく実調に行け!」て感じだったと思います。ご存じ岐阜の事件が発端なのですが、あれを受けて実調にイキさえすれば国の機関として言い訳できる、てのが短絡的に現場に降りてきましてね。地積更正は100%!分筆は50%!とか。
これが実地調査必須のセルフ登記マンの増加によって実調率は必然的に上がっていき、その上調査士の申請まで実地調査とか無理ゲーじゃん、ていうのが上層部に理解されてきた感があります。もちろん、それによって調査士申請の実調をゼロにできるわけでもありません。
実地調査イってたら処理遅くなるじゃん!もしかしたら立会とか負担増えるじゃん!というわけで、実調にイク判断基準をざっくり書いてみます。
《土地表題》
14条地図、測量図、筆界特定図面の数値に整合し、地目・地積が所有権証明等から明らかであること。
《分筆》
14条地図、測量図、筆界特定図面の数値に整合すること。
《地積更正》
計算誤りのほか、隣接すべて測量図があるなどの場合。
《地目変更》
宅地なら建物の登記や評価、建築確認等公的証明があること。雑種地なら太陽光や駐車場の根拠資料があること(農地なら許可書必須です)。
《建物表題・変更》
所有権証明2点以上あり、内部・外部の様子が設計図等でわかること。
《滅失》
滅失証明があり、所有権以外の権利がないこと。
もちろん、写真と素図等をしっかり添付いただいて、現地の状況が判断できて、てことになります。
とはいえ、この基準に満たない事件を全て実調イってたらとても事件処理が追いつきません。そこで、これだけの資料があれば実調省略してもいいんじゃないかな(私見です)、ってのを書きます。ご協力いただけると、実調も減らせてちょー助かります!
・素図は現況図にして(スケッチ程度でもかまいません)、できるだけ広く(結線とか点群でも判断できる場合があります)。
・現況図と公図の重ね図やアテコミ図。空中写真なんかも使えばさらに説得力が増します。
なんでもない分筆や地積更正が実地調査になるのは、立会や調査結果に疑問があるからではなくて、その土地の位置と範囲が確かなのか見なきゃいけないからなんです。
隣接地の形状や面積が公図と矛盾しない範囲で確認できるかどうか、境界が押したり押されたりしていないか。イレギュラーなケースはさておき、通常の分筆なら隣接や街区全体まで確認しないと、立会結果等が生きてこないのです。
現在、どこの局でも申請事件の長期化が問題になっていますが、各局HPの「完了予定日」を見ると、表示登記は比較的早く上がっていることがおわかりいただけると思います(実地調査除く)。
これは、実地調査省略可という調査士申請ならではのアドバンテージであり、調査士センセのご協力のもとに法務局の仕事が成り立っているという証拠です。
私たちも努力はしますが、事件処理を早期に完了させることと、職員個人が表示登記の分野で成長していくためには、土地家屋調査士からの意見や助言がどーしても不可欠なのです。
ありふれた言葉ではありますが、法務局における表示登記と土地家屋調査士が円滑に業務を進められ、お互いに高め合っていけるよう、引き続きのご支援・ご協力をお願い申し上げまして、本日の現場は撤収いたします(^^)/~~
執筆者:セク原田青@頭亀官こと全法務ついった支部長・現役登記官 原田青二
X(旧・Twitterアカウント)
